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──平成元年(1989年)当時は何をされていましたか。
池見:当時は南太平洋のソロモン諸島に赴任していました。
そもそも私が1981年に大洋漁業(現マルハニチロ)に入社したのは、「海外で働きたい」という強い思いがあったからでした。32年間ほど海外事業部に在籍しましたが、そのうち16年はソロモン諸島やタイなど海外で過ごしました。
ソロモン諸島は最初の海外駐在先で、1986年からの4年間、1993年から1996年の2度赴任しています。
──ソロモン諸島ではどんな仕事を?
池見:ソロモン海は非常に良質な漁場で、現地の政府と合弁会社を作ったんです。沖縄から船員を100人ぐらい連れてカツオの一本釣りをやり、ジャングルを切り開いて缶詰工場や鰹節工場を立ち上げました。
日本から遠く離れて水産加工業を展開した背景には、1970年代に取り決められた200海里水域制限がありました。
自国の海岸線から約370kmの範囲を排他的経済水域とするこのルールができて、それまでのように遠洋漁業を行なうことが難しくなった。そのため、世界各地に水産加工業の拠点を設ける必要があったのです。
ソロモン諸島では主にイギリスに向けて缶詰を生産していました。コストの高い一本釣り漁法は徐々に国際競争力を失っていき、2000年には撤退を余儀なくされましたが、ソロモン諸島での経験は、世界の水産貿易のあり方を知る上で大きな経験となりました。
冷凍食品なのに“おこげ”
──マルハ(大洋漁業)は2007年にニチロ(日魯漁業)と経営統合、マルハニチロとなりました。現在は水産事業に加え、冷凍食品や加工食品も事業の柱です。コロナ禍の影響で、家庭向け冷凍食品は堅調が続いているそうですね。
池見:昨春の最初の緊急事態宣言の時は、先行きの不透明感から「食料を確保したい」という需要が高まったようで、缶詰やレトルト食品がよく売れました。2度目の宣言からは冷凍食品、とくにお総菜や中華料理のおかずなど「家族みんなで食べられるもの」が人気を集めています。
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July 26, 2021 at 05:00AM
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