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米国の老舗食品ブランドが、コロナ危機で再興している秘密 - ニコニコニュース

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 新型コロナウイルスパンデミックにより、世界経済が一瞬にして混乱の渦に巻き込まれてしまった。これほどまでの惨状を誰が予測できただろうか。

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 ロックダウンによる外出制限で経済活動は停止し、多くのビジネスが瀕死の状態に追い込まれている。たとえビジネスを再開しても、人員削減や倒産などは避けられないとも見られている。

 このような状況の中、新型コロナによるダメージがかなり深刻になっているのは、ファッション業界、航空業界、ホテル業界などだ。航空業界に至っては、2001年に米国同時多発テロで受けた経済的ダメージよりも、さらに大きな影響が懸念されている。コロナ発生前の状態にビジネスが回復するのには、相当な時間が必要になりそうだ。

 しかし、その一方でコロナ危機でチャンスをつかもうとしている企業もある。加工食品を扱う、大手食品メーカーだ。コーヒー、冷凍食品や保存食品、パンや焼き菓子用商品、調味料などの売り上げが急激に伸びているためだ。

 注目すべきなのは、健康志向による食生活の変化で、近年ビジネスが低迷していた老舗ブランドが再び注目されていることだ。そのひとつが、15年に490億ドルの大型企業合併を果たしたものの、業績が伸び悩んでいるKraft Heinz(クラフト・ハインツ)だ。なぜ今クラフト・ハインツ社が再び注目されているのか。

 同社の象徴的なブランドでもあるKraft(クラフト)のマカロニチーズ、Oscar Mayer(オスカーメイヤー)のベーコンホットドッグClassico(クラシコ)のパスタソースは、新型コロナの影響で需要が急激に高まっているという。

●思いがけない事態に、フル生産

 米国でクラフトマカロニチーズといえば、値段も手頃で鍋ひとつで簡単に調理できるため、忙しい家庭では定番のメニューとして人気だった。米国人なら子供のころによく食べたと記憶に残る、いわばノスタルジーを感じるアイテムだ。過去にはどの家庭にもこの商品がストックされていて、「国民食」とまで言われる時代もあった。

 ところが、米国では過去40年ほどの間に、人々の食生活が大きく変化してきた。缶詰、冷凍食品、ドライフード保存食品としてよく消費されていたが、近年はより鮮度の高い生鮮食品やオーガニック食品、食品添加物を使用しないナチュラル食品などを消費者が好むようになってきている。

 こうした背景もあり、15年末頃からクラフトマカロニチーズも、象徴的な黄色を人工着色料ではなく天然着色料に切り替えてきた。

 その後、企業合併により業界で世界第5位の巨大企業となったクラフト・ハインツ社は、人員削減や工場の効率化によるコストカットビジネスの立て直しを図ってきた。しかし、期待されていた業績を上げることができずにいた。

 一部の分析では、クラフト・ハインツ社の業績が回復しない理由は、コストカットに力を注ぎ過ぎて、消費者の好みが変化していることへの対応が遅れていることが指摘されていた。

 ところが、そこへ新型コロナパンデミックが発生した。普段はヘルシーな食生活を心がけてきた消費者ですら、ロックダウンストレスを癒やすため、ノスタルジーを感じる商品を求めるようになるなど、加工食品がバカ売れする事態となっている。

 加工食品のブランドを多く取り扱う、クラフト・ハインツ社にとって願ってもないチャンスがやってきたのだ。サンフランシスコニューヨークなどの大都市では、クラフトマカロニチーズが売り切れ状態になる事態も発生した。

 思いがけない事態に、クラフト・ハインツ社は全米にあるすべての工場を24時間無休で稼働させ、需要が高まっている商品の生産を急いでいる。近年、工場の効率化を進めてきた同社にとって、その成果をついにアピールするときがきたようだ。

●キャンベル・スープカンパニーも恩恵

 新型コロナ危機の恩恵を受けているのは、クラフト・ハインツ社だけではない。缶詰スープで有名なキャンベル・スープカンパニーも同様だ。

 同社は過去数年、ブランドを象徴する缶詰スープの売り上げが減少していた。マーケティングに力を入れていることもあって、新型コロナの影響で需要が増えている。長期保存ができる缶詰スープは、非常食としてストックできるだけでなく、他の料理の調味料としても使用できるため、その便利さから買い置きする消費者が急増しているのだ。

 今回のような商品の買いだめ増は、キャンベル社にとっては珍しいことではない。今までにも、ハリケーンなどの自然災害が発生した際には、缶詰食品などの売り上げが増加することを経験してきた。過去の経験をもとに商品の安定供給を継続させるため、原材料を多めに確保し、従業員の時給を一時的に上げ工場での生産量を増やす対策をしている。

 ちなみに、新型コロナの影響が徐々に広がり始めた3月時点で比較しても、缶詰スープの売り上げは前年より約60%ほど増えている。キャンベル社が取り扱う、パスタソースブランド「Prego」は約50%の増加、魚の形をしたクラッカーで人気の「ゴールドフィッシュ」の売り上げも、前年の同時期と比べて約20%ほど増えている。

 また、キャンベル社は次の一手も抜かりなく考えているようだ。商品の需要が高まっているタイミングを逃さないように、ソーシャルメディアを活用したマーケティングに力を入れようとしている。

 自宅で料理をする楽しさやメリットソーシャルメディアの番組やインフルエンサーを通じて発信していくという。こうしたキャンペーンは、キャンベル社がターゲットとしている若者にアプローチできる効果的な手段になるだろう。特に今、外出制限によって、自宅で過ごす時間を料理に費やす人が増えているため、ネットレシピを検索したり、写真や動画をシェアするのがトレンドになっている。

 キャンベル社は、ソーシャルメディアでのプロモーション展開を通じて、消費者にレシピのインスピレーションを与えたり、コンテンツシェアしてもらうことでブランドの知名度を上げようとしている。さらに近年、缶詰スープに使用する原材料の質をアップグレードしてきたことにとって、同社の商品をしばらく購入していない消費者に対して、再び興味を持ってもらうきっかけになるのを願っている。

●老舗ブランドにとって最大のチャンス

 これまで、オーガニックナチュラル食品のトレンドにより、老舗ブランドの立ち位置は大きく揺らいできた。消費者は値段が高くても素材にこだわったニッチなブランドを好むようになったり、あるいは低価格のプライベートブランドが脚光を浴びるようになり、二極化が進んできた。

 人工着色料や調味料食品添加物を多く含む加工食品を製造販売してきた大手ブランドも、こうした状況を見過ごしてきたわけではない。健康志向のトレンドに合わせて、オーガニックや植物由来の商品を販売するほか、素材にこだわった高級路線の商品を開発するなど、地道な取り組みをしてきた。

 その努力も虚しくビジネスが低迷していた老舗ブランドだったが、今回のコロナ危機により思わぬところで注目されることになった。この状態がどれほど続くのか予測するのは難しいが、予期せぬ需要の急増でビジネスが救われているのは間違いない。

 もちろん、加工食品の急激な需要は一時的で、パンデミックが落ち着けば元に戻るかもしれない。あるいはその逆で、経済不況により食生活も節約志向になり、加工食品の価値が見直されるかもしれない。

 ただひとつ言えるのは、老舗ブランドにとって今が最大のチャンスに変わりはないことだ。これまで加工食品を避けてきた消費者に、品質が向上された保存食品を試してもらう良いきっかけになりそうだ。

(藤井薫)

米国の老舗ブランドが復活!?

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May 27, 2020 at 07:39AM
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