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愛媛なのに「江戸ッ子煮」 謎の赤い缶詰の正体は - 朝日新聞デジタル

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【動画】愛媛の「江戸ッ子煮」=足立菜摘撮影

 愛媛県民の皆さん、「江戸ッ子煮」を知っていますか。ご存じない? きっと多くの人がそうでしょう。

 実は、愛媛県西予市の食品会社が製造している缶詰の商品名。中には牛肉としらたき、大豆、たけのこ、昆布のかんぴょう巻きと、具材がぎっしり。煮汁はしょうゆベースで、さながら小さなすき焼きのようだ。

 この缶詰、残念ながら愛媛ではほとんど流通していない。なのに、県外では「愛媛の郷土料理」と紹介されていたこともあるという。そして愛媛なのに「江戸」。謎が多い。

 12月上旬、製造している「アール・シー・フードパック」の工場を訪ねた。煮詰めた調味料の香ばしさを全身に浴びながら、従業員が下ごしらえの済んだ材料を一つずつ、慣れた手つきで缶に詰めていく。

 「江戸ッ子煮」は同社で最古参の商品の一つ。社内では戦前から製造されていたと伝わり、よく昔の思い出が寄せられる。数カ月前には「戦時中、疎開先で食べていた子がうらやましくて、ずっと探していた」と、80代の女性から電話があった。

 月の生産量は約5千個で、多くが北陸や関西のスーパーに卸される。北陸では「金沢のご当地缶詰」として扱われることもあるとか。藤田宣邦社長(49)は「30年ほど前の大阪の小学校の献立表には、江戸ッ子煮が『愛媛の郷土料理』として給食に出たと残っていた」と話す。一方、地元では一部の酒屋さんに並ぶものの、レアな存在だ。

 名前の由来は、諸説あるそう。藤田社長によると、まず「元々江戸煮という食べ物があって、それをヒントにしたという説。ただ、江戸煮がどこのどんな食べ物だったのかは分かりません」。他に「昔、東京に売りに行こうとして『江戸』という名前をつけたという説もあります」。

 藤田社長は先代だった父親や古参の社員から話を聞いてきたが、史料が残っておらず、はっきりとは分からない。ちなみに、命名の通り東京に進出したこともあるが、いわく「全然売れなかった」そうだ。

 結局、謎は謎のまま。藤田社長も苦笑い。「ずっとつくっているけれど、由来も分からず、地元でも流通せず。でも郷土料理扱いされていたり……」

 そんな「江戸ッ子煮」、お酒のおつまみにしたり、白ご飯と一緒に弁当にする人が多いという。せっかくなので、そのまま食べてみた。

 赤い缶を開けると、しょうゆの香ばしさに乗って、隠し味のカレーの香りがふわっと漂う。「江戸の煮物ということで、ハイカラなイメージで入れたのかも」と藤田社長。

 味は辛めのすき焼き風といったところ。箸が進む。記者の一押しは、煮汁をよく含み、しゃきしゃきと歯ごたえのあるタケノコ。仕事中なので控えたが、味のしみた具材を一つずつつまんでいると、確かに日本酒を口にしたくなる。

 社員の方には、フライパンで温めて卵とじにアレンジする食べ方も教えてもらった。小さな土鍋で白菜を加えて煮て、ミニすき焼きにする人もいるという。味付けは煮汁だけで十分。どちらも食欲をそそる。謎に満ちた缶詰、いくつか買い込んで、今度は家で晩酌のお供にしよう。(足立菜摘)

     ◇

 アール・シー・フードパック 愛媛県西予市宇和町卯之町2丁目。電話0894・62・1561。四国の店頭での取り扱いが少ない「江戸ッ子煮」は、同社のホームページ(https://www.rc-foodpack.co.jp/archives/products/別ウインドウで開きます)から購入できる。レトルトカレーなども販売している。

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January 17, 2022 at 08:00AM
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