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東日本大震災から10年──。改めて防災の重要性を感じ、備蓄を確認し直した人も多いだろう。その中で欠かせないのが手軽でおいしい缶詰食品だ。いまや、平常時にも食卓に供される機会が増えた「強い味方」だが、それらが危険をはらむことはあまり知られていない。 【表】さば缶、トマト缶…他、気を付けるべき缶詰とその理由
食品ジャーナリストの郡司和夫さんが懸念するのは、缶詰の内部塗装に使われているBPA(ビスフェノールA)という化合物だ。
「BPAは一部の缶詰食品や食器、飲料缶の内側のコーティングに使用されているプラスチックの原料です。大量に摂取することで生殖器や神経系などに深刻な問題を引き起こす可能性があると示唆されており、特に缶詰食品は内部のコーティングに使われたBPAが溶け出し、食べ物にうつってしまうことが問題になっている。実際、厚生労働省のホームページでも注意喚起されています」(郡司さん、以下同)
該当ページには妊娠時には毎食缶詰を中心としたメニューにならないようにという旨の注意書きがある。それに加え、動物実験によってBPAが与える胎児の神経や行動、乳腺や前立腺への影響が認められたことが記載されている。
「なかでもトマトは酸性が強いため、トマト缶はBPAが染み出しやすい。過去にトマト缶メーカーに問い合わせたところ、“妊婦は頻繁に食べない方が安全”と回答されたこともありました」
在米医師の大西睦子さんもアメリカでも缶詰が含有するBPAの危険性は大きな問題になっていると声を揃える。
「2011年に米ハーバード大学が行った研究によれば、毎日1食、缶詰のスープを5日間飲んだ場合と新鮮なスープを飲んだ場合を比較すると、前者の方が尿中のBPAの濃度が1000%以上高かったという結果になりました。
生態系にも大きな影響を及ぼしていて、2015年にミズーリ州コロンビア環境研究センターが発表した論文で、BPAの影響でメダカの生殖機能が大きく低下したことが発表されています。これらの結果を受け、米国立環境衛生科学研究所では缶詰食品の利用を減らすことや、特にBPAが溶け出しやすい熱い食べ物や液体は、ガラス、陶磁器またはステンレス製の容器を使うことなどが提言されています」(大西さん)
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March 23, 2021 at 07:49AM
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