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VRはどうやって人間の脳を欺いて現実と錯覚させるのか? - GIGAZINE

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動画


バーチャル・リアリティ(VR)の中で高所から落下する映像を見ると思わず絶叫してしまうほど、VRは現実のように思えるものです。「VRがなぜ現実のように思えるのか」という疑問について、アメリカのニュースメディアVoxがムービーで解説しています。

How virtual reality tricks your brain - YouTube

ムービー冒頭では、VRヘッドセットとコントローラーを装着した男性が、足元を見ながらため息をつく様子が映し出されています。


「どうしろっていうのよ!」と叫ぶ女性の姿も。


彼らがプレイしているのは、「Richie's Plank Experience」というVRゲーム。Richie's Plank Experienceでは、「80階の高さに設置された1枚の板きれを歩いて渡る」という疑似体験を楽しめます。


Richie's Plank Experienceのグラフィックはよくできていますが、やはり光の反射が不自然に見えたり……


ビルの外壁が滑らかすぎたり……


観葉植物の葉っぱがカクカクしていたりします。


細部を見るとグラフィックの粗さが目立ちますが、Richie's Plank Experienceは粗いグラフィックでもプレイヤーに「現実のような体験」を与えることに成功しています。例えばYouTubeで「VR FAIL VIDEO」と検索すると、VRゲームに熱中するあまりにコケたりモノを落としたり他人をぶん殴ったりといった失敗を犯してしまったプレイヤーの姿を見ることができます。


ではなぜ、VRは「現実のようには見えないのに、現実のように思える」のでしょうか?


「他人がVRを体験しているのを見ること」と「実際に自分がVRを体験すること」で最も異なるポイントは、「Oculus Quest 2」のようなVRヘッドセットの有無です。


VR製品の試験などを専門とするRoomeraのソン・グエンCEOは、「VRヘッドセットこそが、VRのマーケティングにおける最大の失敗です」と語ります。グエンCEOによると、VRヘッドセットのせいでVRをプレイしている人と見ている人が同じ体験を得られないことがVRの普及の足かせになっているとのこと。


グエンCEOは「VRは、テレビなどで映像を視聴するのとは全く異なる体験を脳に提供するものです」と説明しています。我々はテレビやスマートフォンなどを見る場合はスクリーンの映像を写真のような「平面のもの」だと認識しており、スクリーンでボールが飛んでくる映像を見せられても避けようとは思いません。しかし、VRでボールが飛んでくる映像を見せられた場合、人は避ける反応をしていまいます。


この反応を生じさせる原因が、VRヘッドセットは両目の前に1枚ずつ、計2枚のスクリーンを置いているという点です。それぞれのスクリーンは両目の近くに置かれているというだけでなく、それぞれのスクリーンにはわずかに異なる映像が表示されます。


これは、「両目で、それぞれわずかに異なる像を見る」という、人間がモノを見るメカニズムを模しています。


両目が異なる像を見ているというのは、「顔の前に指を1本立てて片目ずつつぶってみる」という実験で確認できます。左目を閉じた場合と右目を閉じた場合では、指の位置がわずかにズレます。


人間はそれぞれの目から得た視覚的情報のズレから奥行きを判断しています。これは「Stereopsis(立体視)」という現象で、立体視こそがVRを三次元的な映像だと錯覚させるものの正体です。立体視の映像が自分の顔の動きに合わせて上下左右に動く場合、人間の脳は「この映像は自分が見ている現実の映像だ」と誤認します。


そのほかにも、立体音響などもVR映像を現実のように思わせてくれる要素の1つ。Richie's Plank Experienceでは、見る向きを変えると風の音が変わるといった演出が施されています。


20年近くもVRテクノロジーを研究し続けてきたハンブルク大学のフランク・スタイニック氏はVR映像から得られる情報は現実の情報と明確に判別できないことについて、「1万5000年にもわたって、我々の脳には『CGの映像と現実の映像を見分ける』という問題は生じませんでした」と説明。VRは人類にとって慣れない技術ですが、生来の視覚メカニズムを模す技術であるため、脳はすぐに仮想環境に適応します。


スタイニック氏によると、人間は情報の80%を視覚から得ているという研究結果も存在しており、視覚が脳に与える影響は多大です。「VR映像の中でまっすぐ歩きながら、実際には半径20メートルの円を描くように歩いてもらう」という実験では、被験者の誰も現実世界で円を描くように歩いていることに気づかなかったという結果が得られたほど、人の脳は視覚に頼り切っているとのこと。


脳は視覚からの情報に依存するあまり、視覚からの情報と視覚以外からの情報にズレがあっても脳は視覚からの情報を優先する傾向があります。現実世界では暑い気温だったとしても、雪山の映像をVRで見せられた被験者が寒さを感じるケースもあるそうです。この現象を利用して、火傷を負った患者が包帯を換える際に雪山のVR映像を見せて痛みを和らげるという実験なども行われています。


2020年におけるVR映像はまだまだ粗さが目立つものですが、スタイニック氏は「5年か10年ほどで現実と見分けが付かないCGが登場します。しかし、それが現実になった場合は倫理上の問題が浮上するでしょう」と語りました。

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December 23, 2020 at 09:00PM
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