希望者に食料品や日用品を手渡す民間団体「フードバンクしまね あったか元気便」のメンバー＝松江市西津田３丁目
長引く新型コロナウイルス禍による生活苦や食品価格の値上がりなどで、生活困窮者に米やレトルト食品などを提供する「フードバンク」の手助けを求める人々が増えている。行き渡らせるための十分な食品の確保が難しくなることが懸念され、関係団体が積極的な寄付を求めている。
家計が苦しい世帯へ食品を届ける民間団体「フードバンクしまね あったか元気便」（松江市西津田３丁目）は、夏休みや冬休みなど子どもたちの給食がない期間を中心に、年４回程度提供する。８月上旬、地域つながりセンター（同）での受け渡しでは保護者らが次々と来場し、中学生の子どもを持つ市内の４０代男性は「助かるし、本当にうれしい」と米やレトルト食品が入った段ボール箱を受け取った。
今回の食品提供希望の世帯数は、昨年同期の２２２世帯から、３０５世帯へと増加。利用者の８割はひとり親世帯といい、大木理之事務局長は「長引くコロナ禍に加えて、物価高の影響があるのではないか」と話した。食品や日用品を提供する松江市社会福祉協議会（同市千鳥町）も「昨年より多いペースで提供の要望がある」とする。出雲市社協、益田市社協、浜田市社協も「要望が多い」としている。
各団体は個人や企業の寄付などを受けて食品を確保しているが、需要に追いつかなくなりつつある。浜田、出雲両市社協では、レトルト食品や缶詰が不足。浜田市社協は寄付を募るため、市内のまちづくりセンター６カ所に余った保存食を入れてもらうかごを設置した。フードバンクしまねは購入資金調達のクラウドファンディングに取り組む。
島根県社会福祉協議会（同市東津田町）地域福祉部の岩崎正志部長は、相次ぐ食料品の値上げの家計への影響を危惧。「困っていることがあれば近くの社協に相談してほしい。企業にも支援してもらえると助かる」と話している。
（片山皓平）
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September 10, 2022 at 04:00PM
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