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サイデザイネイション クリエイターインタビュー。最高峰のデザイナー集団はどうやって生まれたのか? - ファミ通.com

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 サイゲームスが手掛ける『神撃のバハムート』や『グランブルーファンタジー』だけでなく、数多くのアートワークを世に送り出してきたサイデザイネイション。

 この記事では、そのサイデザイネイションに所属する4名のデザイナーによる座談会を掲載。会社の立ち上げ当時のお話や、会社としての今後の目標などをうかがった。

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皆葉英夫(みなばひでお)

サイデザイネイション代表取締役社長。スクウェア・エニックス在籍時は『ファイナルファンタジー』シリーズを始めとするさまざまなタイトルを手掛けてきた。

【皆葉さんの三種の神器】
1 WACOM Intuos3:好きなサイズがこれしかなくて板タブの古いもの使ってます。
2 iPad:使い慣れてないですが、夜はゴロゴロしながら、これで絵描いたりします。
3 愛:必須です。

相場良祐(あいばりょうすけ)

『ファイナルファンタジーXI』のアートディレクターなどを務め『神撃のバハムート』でもプロジェクト初期から、多くのアートを手掛ける。

【相場さんの三種の神器】
1 PC:鉛筆も筆も使えないので何はなくともPCが必要です。早いとうれしいです。でもiPadでもいいです。
2 ナッツ:仕事中はずっとナッツを食べています。太るか太らないかでいえば太ります。
3 Xbox Eliteワイヤレスコントローラーシリーズ2:本当に仕事に欠かせないのか? それは仕事か? という疑問もありますが、とてもすばらしいコントローラです。

大原遼士(おおはらりょうじ)

2014年にサイデザイネイションに入社。『グランブルーファンタジー』や『WAR OF THE VISIONSファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争』に参加。

【大原さんの三種の神器】
1 Cintiqシリーズの液タブ:もう板タブには戻れません。
2 Razer Nostromo:左手デバイスです。すべてのショートカットをこれで行います。
3 CLIP STUDIO PAINT:イラストソフトは基本これ1本です。

瀬野文夫(せのふみお)

2016年にサイデザイネイションに中途採用として入社。『『ファイアーエムブレムif』や、『グランブルーファンタジー』の背景グラフィックを手掛けた経歴を持つ。

【瀬野さんの三種の神器】
1 画面共有:リモートでも効率よくチェックできるようになりました(アイテムじゃないかも)。
2 左手デバイス:手を奥に伸ばさなくていいので肩こりしにくいし、ショートカットもボタンをふたつ押さなくていいので楽。
3 google検索:これがないと仕事ができないです。なかった時代って見たことがある記憶をもとに資料を探したり描いたりしていたわけですよね。想像できないですね。

イラストレーターの未来を憂いて立ち上げたサイデザイネイション

――本日はサイデザイネイションに所属されている4名の皆さまにお話をおうかがいしたいと思います。ざっくばらんにお話しください。

一同 よろしくお願いします。

――最初に、サイデザイネイションを設立されたのには、ある志があったとうかがっているのですが、どんな理由なのでしょうか。

皆葉サイゲームス代表の渡邊さん(※渡邊耕一氏)とは、以前からお仕事をいっしょにしていたのですが、サッカーの話をよくする友だち関係でもあったんです。ですがある日、いきなり渡邊さんから、いまの会社をやめて起業するという話をされまして。

――それで作られたのがサイゲームスだと。

皆葉自分もサイゲームスの立ち上げに誘われたのですが、そのときはとあるタイトルの開発をしていて抜けられなかったんです。代わり、というわけではないのですが、ちょうどそのころフラフラしていた相場さんをサイゲームスに紹介したんでしたっけ。

――フラフラしていたと(笑)。

相場フラフラはしてないですけどね(笑)。最初のサイゲームスは、20人くらいの
小さい会社だったのですが、みんなすごく必死にゲームを作っていて、楽しかったですね。

――いちクリエイターとして会社勤めされていたころとは違いましたか?

相場会社の立ち上げ時でしたから、毎日がめちゃくちゃ新鮮でしたね。若くて才能のある人たちによる、新進気鋭のすごい勢いのある会社でした。もう全員若くはなくなってしまいましたけれども(笑)。

――その後、皆葉さん相場さんを中心に、サイデザイネイションを設立されて、いまにいたります。

皆葉当時、相場と私たちでよく飲みに行っていたのですが、「ゲーム業界はこのままじゃヤバい」みたいな話を酒のツマミにして飲み続けていたんです。

相場ちょうど10年前くらいでしょうか。業界全体が不景気な時期ってありましたよね。ゲームもダメ、出版もダメ。それに関わるイラストレーターの活動も苦しい。そんなときに、僕らで何かできることはないかって。そんな話をずっとしていて。

皆葉サイデザイネイションの設立は、それがきっかけのひとつにもなっています。たしか相場さんが「いいオフィスがあるんだけどって誘ってきたんですよね。

相場自分は、当時サイゲームスの仕事に夢中になっていて。自分は皆葉さんの紹介でお仕事をしたんですが、逆に渡邊さんといっしょになって皆葉さんをサイゲームスに誘ったことも何回かありましたよね。

――そういった経緯があって、サイデザイネイションを設立されたんですね。

相場新しい仕事をいっぱい作って、みんなで食うのに困らないようにしたい。そういう会社を作って、いっぱい新しいことをやろうよと。

――サイデザイネイションを設立されてから、サイゲームスの中心的タイトルのアートワークを幅広く担当されていますね。

皆葉それまでは、『神撃のバハムート』と、気になるタイトルのイラストをちょこちょこ手掛けていたのですが、サイゲームスとせっかくいっしょになってやるんだから、新しい試みのものをやりたいと思って参加したのが、『グランブルーファンタジー』でした。僕がキャラクターを描いて、ほかのメンバーが背景を描いていました。サイデザイネイションの名刺代わりになるタイトルになればいいなと考えていましたが、これほど大きく、長く愛されるタイトルになるとは、思っていませんでした。

サイデザイネイション クリエイターインタビュー。最高峰のデザイナー集団はどうやって生まれたのか?
サイデザイネイション クリエイターインタビュー。最高峰のデザイナー集団はどうやって生まれたのか?

――皆さんはサイゲームスと深く関わられていますが、どういった会社だと感じますか?

相場ひとつ忘れられない話があって。渡邊さんが『神撃のバハムート』をヒットさせましたよね。すでにレッドオーシャンと呼ばれていた領域で最後発に近い形で出したゲームですが、見事にヒットさせて……。リリースする前に「当たったらどうするの渡邊さん」と聞いたことがあるんです。そうしたら、「俺はみんなを幸せにするんだ。誰も困らないようにしてやる」っておっしゃったんです。カッコいいですよね。そういったこともありつつ、『神撃のバハムート』のあとに皆葉さんに「1本やろうよ」って声をかけたんだったかな?

皆葉そうでしたっけ(笑)。自分としては、あんなに時間をかけて、ゲームのクオリティーを上げてくる会社はなかなか珍しいと思っていますね。

相場粘り強くてマジメな会社なんだと思います。ゲーム開発の会社を続けていくと、どうしてもこんなもんだろと簡単な仕事をしたくなることもあるかと思いますが、サイゲームスはそういうのが一切ないなと。誠実さみたいなものはすごく感じますね。ゲームに実装するコラボレーションのイベントひとつ取っても、その作品を隅から隅までチェックして、好きになってから内容を作り始めるとか。こだわりみたいなものはかなり感じます。

――この中では比較的若手にあたるかと思いますが、大原さんから見ていかがでしょうか。

大原自分はもともとサイゲームスに応募して、なぜかサイデザイネイションで働いているという経緯がありまして、新卒の研修も、サイゲームスの人といっしょになってやらせていただいたんです。サイゲームスは社員どうしの行事を大切にしていて、毎月の締め会とか、総会とかを大々的にやるのですが、そういった準備は、新卒の担当なんです。イベントの裏方みたいなこともいろいろ担当させていただいて、コミュニケーションの取りかたなども、しっかりと学ばせていただきました。

――最先端を行く会社なので、そういった行事は控えめなのかな? と勝手なイメージを持っていたのですが、逆なんですね。

大原会社と社員の意識というか、交流を大事にしているなという印象です。そのおかげで、サイゲームスの同期の方々とはいまだに仲よしですね。

――瀬野さんはいかがでしょうか?

瀬野僕は中途採用で働き始めたのですが、サイゲームスには知り合いのイラストレーターさんがたくさん所属しているんですよ。本当に実力のある方々が。

大原僕は『グランブルーファンタジー』が初めて参加できたゲームだったのですが、そのときから「うまい人がたくさんいるな」と思っていて。それに負けないように仕事をがんばっていたので、すごく成長させてもらったと振り返って思います。『グランブルーファンタジー』は自分にとって特別なタイトルです。

瀬野自分は『グランブルーファンタジー』では背景を描いていました。サイゲームスとやり取りもさせてもらっていたのですが、新卒で入社してくる方もレベルが高くて。焦りますよね。上げたアートをチェックされる方もとても能力が高い方なので、お互いに切磋琢磨できるような方々がたくさんいる会社だなと思います。

大原あんなにイラストレーターがたくさん所属されている会社は、本当に珍しいみたいですね。

サイデザイネイション クリエイターインタビュー。最高峰のデザイナー集団はどうやって生まれたのか?

――レベルの高いイラストレーターがたくさんいるというのはサイデザイネイションにも言えることだと思いますが、皆葉さんと相場さんにとっては会社を大きくすることとともに、ライバルも増やすことになりそうなのですが……。

皆葉いやいや、そんなことないですよ。僕は楽をしたいので(笑)。うまい人にたくさん入っていただいて、自分は気に入った仕事をちょこちょこ摘んでいけるようになれば最高ですね(笑)。

――なるほど。ちょっと失礼な質問をしてしまいました(笑)。

相場ライバルというか、もはや先生と言うほうが近いですよね。「みんなうまいなぁ」と素直に言えるというか。

――いいところを吸収し合う仲ということでしょうか?

相場いやそれ以上。先生なので「これうまく描けないんだけど、どうしたらいい?」って聞いたりしますよ。それでだいたい丁寧に意見をくれたり、いっしょに考えたり。ときたま辛辣に、「そんな古臭いの流行らないですよ」って言われたり(笑)。

――ちなみに、どなたがそういった指摘を?

相場金田さん(金田祐太郎氏。『グランブルーファンタジー』の背景デザインなどを手掛けるクリエイター)。彼はきびしいんですよ。

皆葉大原さんも言いそうだよね。

大原僕はそこまで言わないですよ。

皆葉言ってるよね(笑)。人が増えると、そのぶん、先生が増えるっていうことなので、いいことしかないです。大原さんと瀬野さんはライバルが増えて困るのでは?

大原さすがにそんなことはないですよ。でも、新卒の方が入ってくるたびに、その実力には驚かされっぱなしですね。

――和気あいあいさが伝わるようですが、社内の雰囲気もこのような感じなのでしょうか。

大原僕は新卒で入ったのでほかの会社のことはわからないのですが、同じオフィスにいるサイゲームスと比べると静かだなって思いますね。外から来た人がブースにくると、「静かですね」って言われることが多いです。みんな黙々と作業していて、雰囲気に飲まれるみたいです(笑)。

相場いまは全員自宅でテレワークをしていますが、いまのほうがよくしゃべるようになったよね。しゃべる人は一日中しゃべってるし。

瀬野入社当時はめちゃめちゃ緊張しましたけど、月1回ある飲み会でひとりひとりの方が丁寧に話しかけてくれるので、そのおかげでだいぶ打ち解けました。これまでの経歴とか以上に、現在のアーティストとしてアートディレクターとしての実力や考えかたも尊敬していますし、手掛ける作品はすごく参考になっています。いまでも仕事の話をするときは緊張します(笑)。

幅広いクリエイティブでつぎの時代へ羽ばたく!

――最近は、会社の規模が大きくなったこともあり、コーポレートサイトでは幅広く人材募集を行っていますね。

皆葉表現の方法ってイラストだけに留まらないと思っています。うちの会社の人間は多くが「ゲームを作りたい」というモチベーションを持っているので、もっと踏み込んだゲームへの関わりかたを模索しないとやる気も続かないかなと。依頼されるアートを完璧に仕上げることはもちろん大事です。ですが、それだけではなく、イチから企画を生み出したいという目標も掲げています。

サイデザイネイション クリエイターインタビュー。最高峰のデザイナー集団はどうやって生まれたのか?

――それはサイデザイネイションがデベロッパーになるということでしょうか?

皆葉そうです。「大規模なAAAタイトルを作ろうぜ」ということではないのですが、そういった意気込みがある方がいれば、ぜひうちの会社の門を叩いてみてください。

相場会社にはモデラーの方もいますし、ライターとか、プランナーの方も勤めていたこともあるので、今後も幅広く人材を募集しています。

――Twitterなどでも、広報活動を積極的に行われているのには、そういった理由もあるんですね。

皆葉そういう人が会社に増えてほしいなって思うんですけど、うちの会社は何やっているのかが謎すぎて、ぜんぜん集まらないんです。だから、アピールをするためにTwitterアカウントでイラストを投稿したりして広報活動を行っています。

相場もっとアピールをしていかないとね。ファミ通さんでも、ぜひアピールをお願いいたします(笑)。

皆葉我々はアートの専門部隊としてはかなり大きな会社だと思ってはいるのですが、あまり名前が前に出るわけでもないんですよね。関わったゲームタイトルや、クリエイターとしては知られているんですけど、会社となるとまだまだ……。小規模ながらゲームも作っていたりするので、いつかそれを発表できればいいなって思っています。

――近年では、ゲームのアート以外のお仕事もかなり手掛けられていますが、そういった志に則った理由からなのでしょうか。

皆葉いろいろですね。おもしろそうだなと思ったら前のめりでやりますし。我々から「こういうことをやりたいね」って言い出してやる場合もありますし。人材募集だけじゃなくて、他社様から企画の募集なんかもしてみるといいのかもしれませんね。

サイデザイネイション クリエイターインタビュー。最高峰のデザイナー集団はどうやって生まれたのか?

――今後はこういう会社に育てていきたいというビジョンはありますでしょうか。

皆葉あんまりそういう堅いことを言っちゃうとふつうの会社に思われてしまうかもしれないんですけど、サイデザイネイションは、立ち上げの当初から相場と言っていた、“このままじゃ業界もイラストレーターも死んじゃう”っていう問題を解決するために立ち上げた会社です。10年20年経って我々が年寄りになっても、ちゃんと食べていけるような会社作りをしていけたらいいなと。それだけですね。

相場それは間違いないんだけど、対外的には、もっと夢のあることを言っておいたほうがいいんじゃないですか?(笑)。瀬野さんはどう?

瀬野皆葉さんがそういうことを言ってくれていることもあり、たくさんチャンスをもらえるいい会社だと思っています。いま、僕自身も楽しく仕事をさせてもらっていますし、若い人にこれだけチャンスをくれる会社ってそうないと思うんです。若手にチャンスも責任も投げてくれるし、失敗しそうになったら手伝ってくれるし。大原さんとか僕たち的には、皆葉さんが作ってきたタイトルに追いつけるようなものを作って、つぎにつなげていけたら最高だなって思っています。

皆葉瀬野さんがすごくいいことを言った感じがします! じゃあ、最後に相場さんが締めてください(笑)。

相場えー(笑)。そうだな。瀬野さんが言った通りなんですけど、サイデザイネイションは、我々がやりたいことがあって作った会社です。今後は同じようにつぎの世代、そのつぎの世代の皆さんがやりたいことを実現できるような会社にできればいいなって思っています。こんな感じの締めでいいですか(笑)。

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