日本料理店「分とく山(わけとくやま)」(東京都港区)の総料理長、野崎洋光さんの「野崎洋光のたのしい缶詰レシピ 魚介類編」が愛読書だ。缶詰にひと手間、ふた手間加えることで、メインのおかずから汁物、おつまみまで、多彩な料理が誕生する。その発想と工夫が素晴らしく、たびたびマネをさせてもらっている。
新型コロナウイルスの感染拡大で、家で仕事をする時間が増えた。そこで、今回から「これさえあれば主食はOK!」と題し、1缶だけでメインのおかずになる缶詰を紹介していきたい。第1弾は白ご飯に合う缶詰3品。その選別基準は(1)発売が比較的新しいこと(2)食べていてみじめな気持ちにならないこと(これ大事)(3)意外性があり、工夫次第で使い方が広がることーーなど。どれも缶詰博士・黒川勇人のイチオシ商品であります。
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2021年4月に発売された清水食品(静岡市)の「サバカリー」は、サバをカレーで煮込んだサバ缶の1種。俗に“サバカレー”と呼ばれるジャンルのものだ。サバカレーは、1990年代に川岸屋水産(千葉県銚子市)と信田缶詰(同)が初めて商品化したが、川岸屋水産の商品はその後終売となり、信田缶詰の商品だけが販売されてきた。
ところが3年ほど前から、マルハニチロなどメーカー数社がサバカレーに参戦。僕の知る限り、現在8社が11種類の商品を製造している。サバカレーは、もはやひとつのマーケットになっている。
清水食品の「サバカリー」は現時点での最新作だ。ツナ缶を日本で初めて商品化した清水食品と、インドカレーを日本で初めて提供した新宿中村屋(東京都新宿区)がコラボレーションして誕生した、いわば業界のパイオニア同士による夢のタッグマッチなのだ。
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サバカリーには味付けが2種類ある。インドカリー仕立てと本格麻辣(マーラー)仕立てだ。インドカリー仕立ては辛さ控えめ。食べ続けていると汗が出てくるが、辛さに弱い僕でも難なく完食できる。ココナツを利かせているのが特徴で、その風味がカレーに深いコクを与えている。
本格麻辣仕立ては、主に中華料理で使われる花椒(カショウ)が入っているのが特徴。舌がしびれる刺激的な辛さで、僕はあっという間に汗だくになった。様々なスパイスのほか豆板醤(トウバンジャン)やトウチも入っており、重層的な味が素晴らしい。どちらの味付けにも共通するのが、カレーにカツオ節を加えた点。サバは青魚特有の匂いがあり、それがカレーの中で浮いてしまうこともある。それを回避するために、メーカー各社は工夫しているのだが、サバカリーの場合はカツオ節に着目したのだ。
新宿中村屋の開発担当者によると、「モルディブの魚介カレーには魚のダシが入っている。ダシ入りカレーは魚介と相性が良く、この商品もそれにヒントを得た」とのこと。おかげでサバとカレーがマッチしているのはもちろん、後を引くようなダシのうま味も加わって、白ご飯がぐいぐい進む。
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May 28, 2021 at 01:00AM
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ご飯のおかず、これだけで大満足 オススメの缶詰3品|NIKKEI STYLE - 日本経済新聞
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