Search

伝説のサメ映画「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」はどうやって制作されたのか?監督へのインタビューが公開中 - GIGAZINE

jn.prelol.com
映画

by Jessica Petersen

2009年に公開された「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」は日本の映画配給会社であるニューセレクトが発注したビデオ映画で、タイトル通りに「巨大なサメと巨大なタコがサンフランシスコ湾や東京湾などで人類と戦い、お互いに死闘を繰り広げる」という非常にスケールの大きいモンスターパニック映画で、日本のみならずアメリカでも人気があります。そんな「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」でメガホンを握ったジャック・ペレス(別名義:エース・ハンナ)監督が、エンターテインメント関連のニュースサイトであるPolygonのインタビューに答えています。

Mega Shark vs. Giant Octopus: How The Asylum made it in 12 days - Polygon
https://www.polygon.com/22999975/mega-shark-vs-giant-octopus-asylum-movies-interview-jack-perez

「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」の予告編は以下から見ることができます。

「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」 予告編 - YouTube

Q:
「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」はどういった経緯で撮影することになったのですか?

ジャック・ぺレス監督(以下、ぺレス監督):
私はいつも自主制作映画業界と商業映画業界を、タイミングに応じて行き来しています。製作会社であるアサイラムはもともと自主制作映画専門の配給会社で、私の2作目である「The Big Empty」も配給していました。その後、アサイラムが低俗で低予算のモックバスターばかりを製作する会社になり、ロジャー・コーマンみたいにタイトなスケジュールで映画を撮れる監督を探していたんです。だから、私はお金がない時や仕事がうまくいっていない時に、喜んでこういう変な映画の企画に飛びつきました。

実は、もっと大きな予算の映画を個人的にずっと前から計画していて、キャスティングも終わっていました。しかし、ハリウッドではよくあることなのですが、資金調達がうまくいきませんでした。「しまった、どうやって家賃を払えばいいんだ?」と焦って、私はアサイラムに「何か予定はない?今月分のお金が必要なんだ」と電話しました。するとアサイラムから「脚本と監督を担当して2週間以内に撮影できる?」と聞かれたので、「もちろんです!」と答えました。

Q:
「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」の撮影にはどうやって着手したのでしょうか?こういった映画はどうやって製作が始まるのですか?

ぺレス監督:
もともとアサイラムは自社制作映画をDVDとVHSで配給する契約を他社と交わしていました。そして、契約していた配給会社(ニューセレクト)が「○○対○○、のようなモンスター映画が必要なので、そういう作品を作ってくれないか」と打診し、アサイラムはその要求にOKして、私に託したわけです。

私は子どもの頃からレイ・ハリーハウゼンの作品や「キングコング」「ゴジラ」など、怪獣映画が好きでした。自分の中に蓄積されたものを引っ張り出して、自分が好きなものを必要なものに再構成するのはとても簡単なことなのです。

最初は「メガ・シャークVSダイオウイカ」というタイトルで脚本を書いていて、途中で「いや、これはタコだろう」となりましたが、そんなに変わりませんでしたね。この映画は要するに「ジョーズ」を500フィート(約153メートル)にしたものなんです。「ジョーズ」の後にサメ映画の亜流が大量に存在していて、知名度もありましたからね。それに当時は知らなかったのですが、実際にサメとタコの海中戦が記録されていたこともあったんですよ(笑)

あと、私は当初ペンネームで制作に参加しましたが、アサイラムは映画の再編集が好きな会社だったので、私は最終的に実名を出しました。制作上の制約が多い場合、テンポを速くすることで演技・脚本・特殊効果で粗を目立たせずに、観客の興味を引きつけることができるため、この映画はもともと非常に速いテンポで作られました。しかし、アサイラムは特定の上映時間に合わせるため、映画を再編集して水増しすることをよくします。「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」も、私のオリジナル版はもっとスピーディーで面白いのですが、上映時間の都合上10分~15分ほど長くする必要があったため、編集でシーンを水増しされています。なので、公開版は不必要なリアクションのショットやポーズが多くなっていますね。読書感想文で単語間のスペースを無駄に増やして文章量を倍にするようなものです。

Q:
低予算で映画を完成させるというプロジェクトの目標を達成するために、どういった工夫をされたのでしょうか。

ぺレス監督:
脚本の執筆期間は2週間で書き上げなければならず、その後いくつかの修正を行いました。このスケジュールで脚本を書く時は基本的に1日何ページで完成させるかという計算をするんですが、100ページなら1日に最低でも6~7ページを書かないといけない。クレイジーですよ。

アサイラムのプロデューサーはいつも「絶対に真面目に脚本を書き、真面目に演出しなければならない」と命じていました。言い換えると、たとえ低予算の映画でもバカにしてはいけないということです。私にとっては正気の沙汰とは思えませんでしたよ。こういう極端な制限内で映画を作る場合は観客を演出でだますことはできないので、サメが飛行機やゴールデン・ゲート・ブリッジをかみちぎるシーンなど、私はあらゆる場面で不条理を盛り込もうとしたんです。「映画の制作側もばかげたものを作っている」ということを、半信半疑で見ている人も気づいてくれることを期待していました。

私が自分で書いた脚本の中で特に気に入っているシーンに、モンスターをおびきよせて互いに殺し合わせるためのフェロモンを開発する場面があります。登場人物がビーカーに水とインクを混ぜるだけのシーンなのですが、化学に理解のある人はYouTubeでこのシーンを見て、「doing science(科学やってんね)」というコメントを投稿しました。このシーンに化学の知識がちっとも介在しないからこそ、そういうコメントが投稿されるのです。


以下がその問題のシーン。

Mega Shark Giant Octopus lab scene - YouTube

ぺレス監督:
ひとつだけ言えるのは、「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」という映画を作るなら、本当はもっとメガ・シャークとジャイアント・オクトパスの戦いのシーンがあるべきということです。もう少しお金をかけて別のものを作りたかったですね。例えば全体のテンポをよくするために、水増しするのではなく戦闘場面をもう2つほど増やすとか。だってみんなが見たいのはメガ・シャークとジャイアント・オクトパスのバトルなんですから。でもそれだと結局お金がかかってしまうし、誰もそんなことはしたくありません。

だから私は過激な脚本を書いたのです。エフェクトが写実的ではないことは承知の上で、海から飛び出したサメが飛行機を食べるような演出のアイデアが求められました。映画が写実的である必要はありませんが、少なくとも楽しいものでなければなりません。

Q:
映画は12日間で撮影されたそうですが、どうやって進めたのですか?

ぺレス監督:
正気の沙汰とは思えません。誰もがそうだったと思います。笑える話ですが、スケジュールは当初の予定からさらに短くなっているんです。だからあらゆる手を使いました。これまでの経験から、さまざまな技術を学びました。ただ、地獄のような制作進行を強いられます。1フレームたりとも必要以上に撮影しません。カットするために撮るのです。

例えば劇中で潜水艦のシーンがありますが、実際に潜水艦のセットを組んでいません。少なくとも当時のアサイラムにはそんなセットを作るための予算なんてなかったんです。ではどうやって潜水艦のシーンを撮影したかというと、撮影に使っていたスタジオの1つに「エイリアン」のようなSF風の廊下セットがあることに気づいたわけです。「エイリアン」がヒットした後、大量のモックバスターが出回ったためにそういったセットが作られていたんですね。そこで、近未来的なデザインで潜水艦のように狭い廊下があったので、潜望鏡を借りて設置して、キャストに「レッド・オクトーバーを追え!」のようなジャンパーとヘッドセットを着せれば、他の部分が潜水艦じゃなくて廊下であっても、許してもらえるかもしれないと思ったんです。


Q:
今となっては撮影はあっという間だったと思いますが、何か楽しい思い出がありましたか?

ぺレス監督:
映画の冒頭で、バラバラにかみ砕かれたクジラの死体を見つけるシーンがあります。あれは子どもの頃に見た「ジョーズ2」からそのまま持って来ています。メガ・シャークが世界で最も大きいクジラを襲うわけです。普通はCGで作るでしょう。しかし、私は1.2メートルほどの大きさで発泡ゴム製のクジラを作り、カメラの前に置いたのです。そして、人を1ブロック先に移動させました。つまり古典的な遠近法のギャグですね。いい感じでした。毎回うまくいくんですよ。制限の多さにイライラしてた私が、楽しんでやろうとしてたことがコレです。子どもの頃にスーパー8のカメラで撮っていたようなことをやってみようと思ったんです。


Q:
この映画が3D映画化されて公開されるというウワサもありましたが、それは想像を絶する話なんですね。

ぺレス監督:
ええ、そういう話もありましたが、3D映画化の技術にはお金がかかるのでクレイジーですね。しかし、アサイラムがやりたいことに対して野心的であることを責めることはできません。かつて起こった3D映画ブームはまだ大きな復活を遂げていなかったので、3D映画化のアイデアは非常にエキサイティングですが、3Dで撮影するのであれば、おそらく撮影期間は4日間に絞られるでしょうね。

私は10年前から大学で映画について講義をしていますが、学生には「もし初めて映画を作ろうとしていて、数十万円しか予算がないなら、その予算で実現できるものを書きなさい」と言っています。2000ドル(約23万円)しかないのに、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」を作ろうとは思うなということです。しかし、それでもアサイラムは止まりません。「いや、『ジュラシック・パーク』を撮るけど、予算は1.95ドル(約220円)だ」という感じです。

アサイラムは映画業界全体の縮図に過ぎません。映画の製作会社は自分たちの映画がいくら稼ぐかを把握しています。利益を損ねるために1セントも無駄にしたくないので、たとえお金をもっと使えばもっと良い映画が作れるとしても、企業の目的がお金を稼ぐことであれば、映画の品質や品質効果、そして品質を保証する撮影日数が犠牲になります。一方で映画を制作する者であれば、そのようには考えず、「もう一度やらせてください。もう1時間くれたら映画をもっといいものにできる」と考えます。

どんな映画でも、作るチャンスはめったにない。一般的には、映画と映画の間には2~3年の間隔が空くものです。だから、制約やストーリーに関係なく、どんな機会でもチャンスなのです。プロ意識を持ってそれに臨むか、それとも苦虫を噛み潰したようにそれに臨むか、どちらかです。だから、特に12日間という限られた時間の中では、常に「できるだけいいものを作ろう」ということを意識しています。

「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」は、Amazon.co.jpでDVDを購入可能。価格は記事作成時点で税込909円です。また、Amazonプライムビデオでも配信されており、HD(高画質)版が税込406円でレンタル視聴が可能です。

Amazon | メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス [DVD] | 映画


Amazon.co.jp: メガ・シャークvsジャイアント・オクトパス(吹替版)を観る | Prime Video


Amazon.co.jp: メガ・シャークvsジャイアント・オクトパス(字幕版)を観る | Prime Video

この記事のタイトルとURLをコピーする

Adblock test (Why?)



"どうやって" - Google ニュース
March 29, 2022 at 06:00PM
https://ift.tt/vRNUnb9

伝説のサメ映画「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」はどうやって制作されたのか?監督へのインタビューが公開中 - GIGAZINE
"どうやって" - Google ニュース
https://ift.tt/yVHgMBJ
Mesir News Info
Israel News info
Taiwan News Info
Vietnam News and Info
Japan News and Info Update
https://jn.prelol.com/

Bagikan Berita Ini

0 Response to "伝説のサメ映画「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」はどうやって制作されたのか?監督へのインタビューが公開中 - GIGAZINE"

Post a Comment

Powered by Blogger.