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病気からどうやって体を守るの? 「免疫」の仕組み|ヘルスUP|NIKKEI STYLE - 日本経済新聞

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スーちゃん 新型コロナウイルスのニュースの中で、人は昔から感染(かんせん)する病気と闘(たたか)い続けていると説明していた。病気にかかり多くの人がなくなるけれど、生きのびた人もいるよね。ウイルスなどの病原体から体を守る仕組みがあるのかな。

敵を見分けて攻撃する「免疫」が働くんだ

森羅万象博士より 細菌(さいきん)やウイルス、カビなどの病原体は体の中に入ると病気を起こし、ときに命を奪(うば)う外敵(がいてき)だ。人だけでなく多くの生き物は外敵から体を守る仕組みをもち「免疫(めんえき)」と呼ばれているよ。

紀元前のギリシャやインドでは、一度かかった病気には再びかかりにくくなる「二度なし現象」が経験的に知られていたという。病原体から体を守る免疫の現象に気がついていたようだ。免疫の研究の歴史は長いけれど、くわしい仕組みが分かってきたのは20世紀半ば以降だ。遺伝子(いでんし)やたんぱく質などの働きから生体内の様々な機能を探(さぐ)る「分子生物学」が発展(はってん)してきたおかげなんだ。

現代の免疫学では外敵が体に侵入(しんにゅう)してきたら最初に働き始める「自然免疫」と、外敵に応じた攻撃をしかける「獲得(かくとく)免疫」の2種類が連動していると考えている。どちらも血液中にある「白血球」という細胞から生まれた様々な細胞が、それぞれ独自の役割(やくわり)を果たしているよ。

自然免疫では「好中球(こうちゅうきゅう)」や「マクロファージ」「樹状細胞(じゅじょうさいぼう)」といった細胞が異物(いぶつ)をとにかく食べまくる。分解して排除(はいじょ)する仕組みだ。けがをした後に炎症(えんしょう)が起きたりうみができたりすることがあるね。傷(きず)口の細菌などを攻撃(こうげき)して起きる結果だといえる。「NK(ナチュラルキラー)細胞」は大きくて殺傷(さっしょう)能力が高く、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を攻撃している。

獲得免疫では「T細胞」と「B細胞」の2つの細胞が活やくする。特にT細胞は獲得免疫の司令塔(しれいとう)とも呼ばれている。

T細胞には「ヘルパーT細胞」や「キラーT細胞」などの仲間がある。ヘルパーT細胞は病原体を分解した樹状細胞から、どんな物質でできているのかという情報を手に入れていることがこれまでの研究で分かってきた。この情報をもとに、B細胞に対し病原体だけを攻撃する「抗体(こうたい)」というたんぱく質を作るように命令を出している。さらにマクロファージの活動もうながしている。

キラーT細胞も樹状細胞からもらった情報をもとに、病原体に感染した細胞を見分けて攻撃をしかける。自然免疫と獲得免疫が協調して外敵とたたかっているわけだ。

免疫は医学の分野ではとても重要な役割を果たしている。ワクチンはその代表例といえる。まだ免疫の仕組みが分かっていなかった18世紀末、英国の医師のジェンナーは二度なし現象に関心を寄せ、うまく医療(いりょう)に使えるようにしたんだ。

当時の人たちは感染病の「天然痘(てんねんとう)」を非常におそれていた。ジェンナーは牛がかかる「牛痘」という天然痘によく似た病気がまれに人にうつり、牛痘になった人は天然痘にかからない話にヒントを得て、牛痘にかかった人から取ったうみを男児に注射してみた。男児は体調が少し悪くなったがすぐに回復し、次に天然痘にかかった人のうみを注射しても症状(しょうじょう)は全く出なかった。この実験が免疫学の始まりといわれているよ。

いまでは子どもたちがかかりやすい病気を中心に、様々なワクチンが実用化されている。日本ではジフテリアや百日ぜきなどの病気が指定され、予防接種で感染を防ぐようにしている。

人工的に抗体を作ってがんなどを治療(ちりょう)する「抗体医薬」は、製薬会社の主力商品になっている。抗体はがん細胞にだけできるたんぱく質を目印に攻撃するので、従来の抗がん剤とはちがって正常な細胞を傷つけない。効果が高く副作用の少ない薬として広く使われている。

2018年のノーベル賞の対象となった「がん免疫療法(めんえきりょうほう)」は新しい応用例だ。免疫が働かないように情報をやりとりする仕組みが見つかり、がん細胞がこれをうまく使っていることが分かった。情報伝達をたち切り、がん細胞を攻撃できるようにする抗体医薬が実用化したんだ。

体の中にある抗体を見つけて肥満や糖尿病(とうにょうびょう)などの生活習慣病を診断(しんだん)する新しい方法の研究も進んでいるよ。

■免疫は暴走することも

博士からひとこと 免疫はとてもよくできた仕組みだ。しかしときに暴走(ぼうそう)することもある。もともと体の中にあった細胞や組織を外敵とまちがえて攻撃してしまう「自己免疫疾患(しっかん)」や、免疫が強く働きすぎて過剰(かじょう)な反応が起きる「アレルギー疾患」がある。
自己免疫疾患では関節リウマチや多発性硬化症(こうかしょう)など様々な病気が知られ、原因が分からず難病(なんびょう)に指定されている例も多い。関節リウマチでは活発に働いているたんぱく質が判明し、これをおさえこむ医薬品が開発された。大阪大学の研究者らによる基礎(きそ)研究をもとに中外製薬が実用化にこぎつけ、日本発の大型医薬品の一つに数えられている。
アレルギー疾患では花粉症やアトピー性皮膚炎(ひふえん)がよく知られている。免疫の働きをおさえる薬が治療に使われているが、感染症への抵抗力(ていこうりょく)も下げてしまうため、バランスの取り方が難しい。症状が出る部分にだけ作用する治療薬の開発が目標になっている。

(北里大学の中山哲夫特任教授に取材しました)

[日本経済新聞夕刊2020年6月13日付]

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