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虫や鳥、植物…200万点超える標本や資料、どうやって管理? 三田・ひとはく - 神戸新聞NEXT

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 人と自然の共生をテーマにした兵庫県立人と自然の博物館(ひとはく、同県三田市弥生が丘6)が保有する標本、資料は200万点を超える。虫や鳥、植物、化石などジャンルはさまざま。計約4500平方メートルの広大なスペースに、適切な温度、湿度で厳重に管理されている。研究員が採集したものだけでなく、県内のコレクターらからも寄贈される大量の標本。どうやって保管され、役立てられているのだろう。(小森有喜)

 ■研究の礎、学名や採集地正確に 保管しつつ見て楽しむ

 「うわ、あのちょうちょでっか」「このカブトムシ知ってる」。標本や資料の収蔵庫棟「コレクショナリウム」に子どもたちの歓声が響く。本館にある従来の収蔵スペースだけでは手狭になったため、今年10月に敷地内にオープンさせたばかりの施設だ。1階は昆虫の標本や鳥、哺乳類の剥製を保管しつつ、外からも見える設計になっている。

 2階の収蔵庫内部に特別に入らせてもらうと、人の背丈よりも高い棚がずらりと並んでいた。すべてが植物標本で、その数は約54万点に上る。植物はどれも台紙に貼り付けられており、ラベルで学名や採集された日付、地点などが分かるようになっている。逆に言えばそれが明らかでないと標本としては認められない。

 植物分類学が専門の高野温子主任研究員(51)が取り出した植物に目をやると、古びた紙に「カヤ 1934年5月9日」とある。「六甲中學校植物標本」の文字も見え、現在の六甲学院(神戸市灘区)が戦前に保管していたものらしい。ひとはくにある最も古い植物標本は1886年のものだといい、植物分類学の歴史の長さを物語る。

 別室では、スタッフの佐藤順子さん(60)が植物標本を作っていた。新聞紙に挟まれた草や葉を取り出し、添付されたメモなどをもとに、正確な学名や採集地点を特定し、データをパソコンに打ち込んでラベルを台紙に貼る。その台紙に、植物の形を崩さないように注意を払いつつ専用のテープで植物を固定。この仕事を20年以上担っている佐藤さんの手さばきはスムーズ。台紙に貼る作業だけなら1日100個は完成させるという。地道だが重要な仕事が研究の礎をつくっている。

 本館に移動し、動物の剥製がある収蔵庫も高野さんに案内してもらった。「本剥製」と「仮剥製」があり、一般的に目にするものは前者。鑑賞を意識して義眼を埋め込んだり、充填(じゅうてん)剤を入れてポーズを取らせたりしている。一方の仮剥製は研究用のため、ツバメ、カモ、コウモリなどそのままの姿で保管されている。

 収蔵庫の中で標本を観察していたのは山田量崇(かずたか)主任研究員(44)=昆虫分類学。「僕の専門はこれです」と標本箱を見せてもらうと、たくさんのピン留めされた小さな紙がある…いや、よく見るとその一つ一つに虫が固定されている。「ハナカメムシ」といって体長は1ミリ程度しかない。

 山田さんはこのカメムシの研究を大学院生時代から続けている。農場に発生するアブラムシなどを捕食するため、害虫防除に役立てる研究も進んでいる。従来はどんな種類があるのかつまびらかになっていなかったが、山田さんらの尽力で、日本に生息するハナカメムシについて95%ほどの分類が明らかになった。

 こうした研究でも標本は要になる。研究者は大量の標本に目を通し、特徴を分類していく。東南アジアなど海外でも研究し、標本を採集している山田さん。「これほど小さな昆虫だと分かっていないことも多く、まだまだ発見がありそう」と目を輝かせる。

 このように「同じ種の標本であっても大量にあることで標本は意味をなす」と研究員は口をそろえる。保有する標本が少なければ、例えば虫の触角の長さ、植物の葉脈の形といったそれぞれの特徴が個体差や地域差によるものなのか、種によるものなのかが分からない。同じ種でも、場所や年代ごとに蓄積があれば、地域ごとの特徴や変化の過程をつかむことができる。「膨大な標本をきちんと保管し、未来に残していくことも博物館が担う重要な役割」と高野研究員は話した。

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November 25, 2022 at 09:20AM
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