第93回都市対抗野球大会は第2日の19日、東京ドームで1回戦があり、前回大会準優勝の大津町・Honda熊本が、東京都・鷺宮製作所に9―3で快勝し、3年連続で2回戦に進んだ。
大津町に打順は関係ない。二回の4番・古寺宏輝の豪快な一発を合図に、右へ左へと本塁打が乱れ飛んだ。1試合のチーム最多記録まで2本と迫る計6本のアーチを描いた。その破壊力はすさまじかった。
東京都の先発・野口亮太は、2017年にNTT東日本の補強選手で優勝に貢献した8年目の好左腕だ。経験豊富なベテランが、1試合4本も本塁打を浴びるのは見たことがない。「20年近くも野球をやってきて初めて。今でも正直どうやって抑えたらいいのかわからない」と野口が首をかしげるほどだ。
まずは1点を追う二回。古寺が初球のカーブを左翼席まで持っていくと、圧巻は三回だった。1番の山本卓弥が中堅手の右まで運ぶソロを放ち、3番・稲垣翔太も右越え2ランで引き離した。下位打線も黙っていない。四回には9番の石井元が左越え3ランを放ち、野口をこの回でマウンドから引きずり降ろした。六回に7番の川嶋克弥に中越えソロが飛び出し、七回には稲垣が右翼席上部まで運ぶ2本目を放つと、あまりのすごさに場内が一瞬静まりかえった。
昨年11～12月の都市対抗では、5試合で出場チーム最多8本塁打を放ち、長打で勝ち上がった。決勝は0―5から3本の一発攻勢で1点差まで迫った。目を見張るのは振りの鋭さだ。初球からフルスイングできるパワーと積極性だけでなく、球を見極める目もある。渡辺正健監督の「受け身にならず、攻めの姿勢で打っていく」という指示は全選手に徹底されている。
野口は緩急と制球力を生かす軟投派だ。変化球の見極めが鍵になるが、受ける捕手の弓削田智輝の言葉が興味深い。「（大津町打線は）変化球を前でさばく。まるでボールがバットに長時間のっかっていっているように見える」。実際に古寺が「打たされないように自分の（ポイントで）スイングをする」と話す通りの打撃を実践した。
前回は優勝旗が目前まで迫った準優勝で、自信と悔しさを同時に持ち帰った。今年から3年ぶりに夏開催に戻り、前回から半年しかたっていないのも好調を持続できている要因だ。「勢いはまだつながっていると感じる」と渡辺監督。持ち味を存分に出し、快調に滑り出した。【浅妻博之】
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July 19, 2022 at 06:04PM
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