レコルトといえば、「今どきの暮らしにちょうどいい」をコンセプトにしたデザイン家電ブランド。コンパクト、インテリアに合わせやすいカラー、ムダを削ぎ落とし使いやすくしたシンプルな機能、低価格を特徴としている。
現在は生活家電も開発・販売しているが、主力は2009年のブランド立ち上げ時から手がけているキッチン家電。最近発売したアイテムでユニークなものが、「ミルクティーメーカー」(7700円)だ。
21年12月に発売されたミルクティーメーカーは、本格的な煮出しミルクティーを簡単かつ短時間でつくることができる。つくり方は次の通り。
(1)撹拌(かくはん)させるフローサーを本体の軸棒にセット
(2)本体に牛乳と水を入れる
(3)茶葉を入れたストレーナーをカバーに通しキャップを閉める
(4)電源コードを接続する
(5)Select・Cancelボタンをタッチ
(6)Milk Tea(ミルクティー)モードを選ぶ
手順を6つに分けてはいるが、要は材料をセットしたらボタンをタッチするだけ。約8.5分から10分で完成する。Milk Teaモードを選んだあとは、撹拌と休止を繰り返しながら牛乳を温め、ミルクティーを煮出すのに最適な約70度をキープする。
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ルーツは10年以上前に発売されたミキサー
21年に入ってから開発を検討したというミルクティーメーカーだが、実は意外な商品がルーツになっている。それは10年5月に発売されたミキサーの「ソロブレンダー」。現在は3代目の「ソロブレンダーソラン」が17年5月から販売されている。
ソロブレンダーはモデルチェンジするだけではなく、新商品も派生させている。最初の派生商品は、19年2月に発売された「ガラスブレンダー リコ」。耐熱ガラス製のガラスジャーを採用し、温かいポタージュやトマトソースなどをつくることを可能にした。
第2の派生商品は、20年11月に発売された「ソイ&スープブレンダー」。加熱しながら刻んで撹拌することができ、食材を入れてボタンを押すだけで温かいスープや豆乳をつくることができる。
そして第3の派生商品がミルクティーメーカーになる。レコルトブランドの家電を開発・販売するウィナーズは、ソイ&スープブレンダーの加熱しながら撹拌する動きを利用できることと、コンパクトにできサクッと使えるところが紅茶づくりに生かせると考えた。
紅茶づくりが発案された背景には、このほかにもレコルトの海外展開がある。同社の家電は日本だけではなく韓国、中国、台湾、香港、シンガポールでも販売。このようなことから、各地で流行っている商品情報は得られやすく、その中の1つに台湾のホットティーやミルクティーがあった。台湾といえば、日本でも流行ったタピオカミルクティーが有名だが、現地では紅茶が広く親しまれている。
しかし、ウィナーズの岡野真二社長は開発の課題をこう打ち明ける。
「紅茶にはいろいろな文化的背景があり、淹(い)れ方もさまざまです。それらを考慮し、落とし込んでいく過程には難しい場面が多々ありました」
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他の飲料をつくるときにも応用可能
ミルクティーメーカーの開発はどこが難しかったのか? 商品本部 ダイレクターの猿渡進悟氏は次のように話す。
「牛乳は加熱すると凝固するので、加熱と撹拌のバランスを取るのが難しかったです。撹拌のパターン、温度、茶葉の量、お湯に浸す時間をどの程度にするかを1つずつ検証していくのに労力をかけました」
また、加熱して撹拌するという動作はミルクティーづくり以外にも応用できることから、開発の過程で他の飲料もつくれるモードも搭載することを決定。これにより汎用性を高めることになった。
ミルクティーをつくるMilk Teaモード以外には次のモードがある。
Tea(ティー)モード:ストレートティーやレモンティー、ハーブティーなどを淹れるのに使うもの。約100度まで加熱し、ヒーターが止まった1分後に調理が終わる。
Instant(インスタント)モード:インスタントコーヒーやインスタントスープのような沸かしたお湯が必要なメニューをつくるのに使うもの。約95度になるまで加熱し、最後に約15秒撹拌する。
Milk foam(ミルクフォーム)モード:カフェラテ、キャラメルマキアート、ダルゴナコーヒーなどのトッピングに使うミルクフォームをつくるときに使うもの。カフェラテ2杯分程度のミルクフォームがつくれる。撹拌しながら加熱し約65度をキープする。
Stir(ステア)モード:ヨーグルトラッシーなど冷たいまま撹拌したいメニューづくりに使うもの。カクテルの撹拌、青汁やプロテインといった粉末飲料をつくるときなどにも使える。
「いろんな使い方ができますが、その使い方を計5つのモードに振り分けることは、アイデアが次から次へとわいて出てくる中でなかなか大変なことでした。出汁(だし)を取るのにも使えるのではないか? といったアイデアもあったのですが、次から次へとできることを増やしていくと何が言いたいのか分からなくなります」と猿渡氏は話す。
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台湾で親しまれている味わいを再現
プログラムに落とし込むものは、ブレイクタイムにお茶を楽しむときに使えるものに絞った。ストレーナーを使うことからレギュラーコーヒーの抽出にもトライしたが、ドリップして淹れたほうがおいしかったことから断念した。
レコルトのWebサイトにはミルクティーメーカーを使ったレシピが紹介されているが、チャイや抹茶ラテ、ほうじ茶ミルクティー、ダルゴナコーヒーなどアジア各地で親しまれているものが比較的目立つ。猿渡氏は「調べていくとアジアンティーやアジアンコーヒーの進化が面白かったので、アジアで親しまれているティーやコーヒーをつくれるようにしました」と話す。
また、5つのモードとそのモードを選択することでつくれる主要メニューを紹介した「エンジョイシート」というリーフレットを商品に同梱。各モードの基本的な使い方などが簡単に紹介されているので、公式レシピ以外のものをつくる際の参考にすることができる。
肝心のミルクティーは英国のロイヤルミルクティーではなく、台湾で親しまれている味わいを再現。最初は茶葉をミルクや水と一緒に本体に入れてトライしてみたが、茶葉を濾(こ)しきれないことから現在のようにストレーナーに茶葉を入れてセットするようにした。「ミルクティーのつくり方にもいろいろありますが、コンパクトなミルクティーメーカーに合った方法を探し出すのに時間がかかりました」と猿渡氏は振り返る。
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コンパクト、高いデザイン性、シンプルな機能を追求
22年も新商品が予定されているレコルトだが、この4月中に「コンパクトベーカリー」が発売される。
コンパクトベーカリーとはホームベーカリーのことだが、何よりも特徴的なのが見た目。面で構成され四隅に角があるフォルムで、既存のホームベーカリーと一線を画している。
本体のデザインは焼き上がったパンをスパッと切ったときの断面にインスパイアされたという。角があるのでキッチンの端などに置きやすく、使っていないときにキレイに見えるようデザインした。表示は一般的なホームベーカリーより少ないが、その代わり大きな液晶画面を搭載した。
機能もシンプルで、メニュー数をホームベーカリーでよく使われる12個に絞った。フタを上に開くとメニューが現れ、これを見ながら操作を行うようになっている。
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社内はベーカリーのように
こだわってつくったパーツがパンを焼くための釜。「厚釜パンケース」と呼んでいるが、厚さ2.5ミリメートルのアルミダイカスト製で、他社のホームベーカリーに使われているものより厚くした。本体から取り出すときに持つハンドルも丸断面のワイヤーだと手が痛くなり使用感が落ちることから、厚みのある板材でつくったものを採用したほどだ。猿渡氏はこう話す。
「本体は幅205ミリメートルとコンパクトなのですが、コンパクトにすると外気の影響を受けやすくなることから釜を厚くすることで蓄熱性を高め、コンパクトでもおいしいパンが焼けるようにすることを意識しました」
企画から発売まで2年以上かかったが、開発では試作検証に時間を要した。21年4月から12月までの間、社内で全メニューを焼いて検証。社内はあたかもベーカリーの様相を呈したそうだ。
ミルクティーメーカー同様、コンパクトベーカリーもコンパクトでデザイン性が高く、機能がシンプル。今後もこうした商品がいろいろ登場する予定だ。
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April 14, 2022 at 06:30AM
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